「朝食はここで食べるといい。それと服装なのだが。今のままではあまりにも目立つので、我が姉上が着ていたものの中から選んで着替えて欲しい」
そう言って、お部屋のクローゼットを開けながら、ここがアンドリュー王子のお姉さんの部屋だったことを教えてくれた。ちなみにお姉さんは、お隣の国へお嫁に行っちゃったそうな。
それにしても、ド派手なドレスばっかりですがっ!
フリルがてんこ盛りのスカート。
貸衣装屋さんもびっくりの、カラフルでゴージャス、絶対すそを踏んづけそうなドレス。
庶民の中でもかなり質素な生活をしているわたし、こんなのを着たらなんだか勘違いしてしまいそう。疲れる。絶対にこんなドレス、わたしのガラじゃない。
「こっちの方がどう考えても目立ちそうだけど、普段着はないの?」
彼の人面瘡時代、王子様であることを信じていなかったわたしはずっとタメ口をきいていたので、今更変えられない。
「全部普段着だが?」
「じゃあ、動きやすい服は?」
「一応探してみる」
アンドリュー王子はクローゼットの中でごそごそと動き、何やらぶつぶつ言いながら探してくれた。
「姉上の趣味と沙也の趣味は全然違うらしいな。これが一番地味なドレスだ」
そう言って出されたのはやっぱりドレスだったけれど、すその広がり具合がおとなしい。
ああ、これならあんまり装飾品がついてなくて動きやすいかな?
水色の、シンプルなドレスだった。


