学校の教室よりずっと広いお部屋。
朝日がさんさんと降り注ぐその窓辺には、美しいバラの花がわたしの年齢の十倍くらい飾られていた。
天井にはシャンデリア。
お部屋の中央には天蓋つきのゴージャスなベッド。
わたしは今、そのベッドから上半身を起こして、手首の人面瘡と会話してる。これが笑わずにいられますかって。
自分の姿を見ると、昨夜と同じ。
タンクトップに、黒いハーフパンツ。
何という違和感!
わたしと健斗君の存在だけが浮きまくりっ!
また、笑いがこみあげてきて、ついには爆笑していたら、コン、コン、とドアをノックする音が部屋に響いた。
「沙也、目が覚めたようだな。我が入室してもかまわぬか?」
この声は、アンドリュー王子?
ぎょっとして両肩をみると......つるんとした、元のわたしの肩に戻っていた。
「アンドリュー王子ってさ、ホントに『王子様』だったよ」
健斗君がニヤニヤしながらわたしに話しかける。
ということは、もしや、そこにいるのは......!
「入るぞ」
「は、はいっ!」


