異世界で朝食を
気持ちのいい朝。ふかふかのベッドで、わたしは寝返りをうつ。
「沙也ちゃん、目が覚めた？」
「......あとちょっと寝かせてよぉ」
答えてから気が付いた。
わたしは確か、健斗君の離れの和室で寝ていたはず。これは明らかにあのお布団とは違う。
今、わたしに声をかけたのは、健斗君。
しかもこのくぐもった声は......。
跳ね起きて、右の手首を見たら。
......い、いたよ。健斗君。
手首の真ん中、ちょうど、腕時計をつけるあたりに！
しかも、人面瘡になって！現世ではイケメンと言われる顔立ちだった健斗君は、こんな姿でもなかなかいい男、かもしれない。でも顔だけなので、髪の毛がなくてつるんとしている。
「ぶわっはっはっはっはっ！」
「......そんなにおかしい？」
「うん。おかしい。もう、笑うしかないんじゃない、この状況だもん」
健斗君だけがおかしかったわけではないんだよ。
だって、わたしが今いるこのお部屋、すごいんだもん。
きっと、お姫様の寝室ってこんな感じだと思う。
