幽体離脱中かも知れない健斗君をびっくりさせないため、寝返りもうてないわたしは、ひたすら闇の中で祈る。
うまくいきますように。
三十分以上経ったと思われる時、ふいに、和室の空気が変わったような気がした。
何ていうのかな......ひんやりを通り越して、ぞくりとするような感じ。
ほぼ同時に、生臭い、なんとも言えない臭いがただよってきた。
それがわたしの方へ寄ってくる。
冷たくて、黒くて、恐怖感と怒りと悲しみと痛みと苦しさ......とにかく全てのマイナス要素がわたしを包み込んでいる感じだった。
叫びだしたい気持ちと、必死に戦う。
今は絶対に音を出しちゃダメ!
底知れぬ恐怖感......こんなのは初めてだった。


