それだけ一気に言うと、健斗君はリモコンで電気を消して、静かに仰向けになった。
部屋は真っ暗だ。一瞬だけ、自分の腕時計を確認した。
それから、おじいちゃんとおばあちゃんに心の中で「おやすみ」と挨拶をする。
嘘ついちゃってごめんね。でも、やましいことは何もないし、こうしなくちゃならない事情があったから、と言い訳もしてみた。
わたしも、静かに仰向けになる。
ただ今深夜十一時半。もうすぐシンデレラが現実の世界に戻る時間だ。なのにこれから私は異世界へ行こうとしてるなんて、ね。
十分......二十分位経ったかな?
まだ何も起こらない。
健斗君は、疲れている時など、だいたい夜中の十二時頃に金縛りになることが多いそう。金縛りと幽体離脱はセットでなっちゃうものだから、この時間を逃すと難しくなるという説明だった。


