「いやだ、絶対に無事に戻らなくちゃ!」
このままだと、私の就職先が見世物小屋になるだけじゃなくって、牢屋を経由する必要が出てきちゃうじゃないの!
いや、私は未成年だから少年院か鑑別所?
そんなことよくわかんないけれど、どっちにしても警察のご厄介になることだけは確か。
ああああますますおじいちゃんとおばあちゃんの血圧が上がっちゃうじゃないの!
どうか神様、わたしと健斗君をお守りください!
「そう。失敗は許されない。じゃあ、電気消すよ。沙也ちゃんはそのまま、目をつぶってじっとしてて。とにかく静かに動かないで声も出さないこと。もちろん自称王子の二人も、話しかけてくるなよ。あと一時間後......十二時がオレにとっての『金縛りタイム』だからさ。この時間がチャンスってことで、抜けたら沙也ちゃんの手首に潜り込む。あとは王子二人、がんばって連れてってくれよ」


