「沙也(さや)ちゃん、新しいお父さんになる人だから仲良くしてね」
お父さんより若いし、カッコいいというのが第一印象。
これが、シンデレラの世界で言う「ママハハ」だとわかった。あ、お母さんじゃないから「ママハハ」じゃないのね。じゃあ「パパチチ」って言うの?
お母さんにそう聞いたら、「ぷっ」ってふき出して笑ってた。
この、義理のお父さんが来てから生活がまた変わった。
若くて、ゲームが上手な新しいお父さん。最初は、カッコいいお父さんが誇らしかった。
でも、うれしい気持ちはあっという間にしぼむことになる。
小学校へ入学したばかりのわたしに、双子の妹ができた。
お母さんは赤ちゃんがお腹にいる時からずっと入院していて、その間、わたしはお父さんと二人で暮らした。
正直なところ、それがとてもイヤだった。だって、お母さんがいる時と、二人になった時のお父さんの態度は明らかにちがっていたから。
乱暴な態度、命令口調、時々物を投げつけられた。
それでも、お母さんが戻るまでのがまんだと思ってたえてきたのに、お母さんが赤ちゃん達と退院してからは、さらにひどい状況になった。


