「そうだな......手首はどうだ?」
アンドリュー王子が先に答えた。
「ですね。手首なら大きな腕輪でかくれそうですし」
シン王子もそれに同意しているんだけど......?
「ちょ、ちょっと待って! 今度は健斗君がわたしの手首に乗り移っちゃうの?」
「いやなら、違うところでもいいよ。ただしお尻は座った時につぶれるからカンベンして」
「何考えてるのよっ! 手首にしましょ。で、リストバンド貸して」
健斗君はもう一度離れから出て、リストバンドを持ってきた。
「はい、これ。今すぐ使って。あと、さっきもらった五芒星のペンダントもね」
わたしは素直に、リストバンドとペンダントをつけた。
「では、異世界へ行きますか!」
いつもの調子で軽く言ってるようだけど、健斗君自身はものすごく張りつめた雰囲気で、奥に敷いた布団へ横たわった。
「沙也ちゃんは、そっちの布団を使って寝ていて」
「え? 普通に寝てたらいいの?」
「んー、まあ、黙って寝てくれたらいいよ」
黙って......と言われても、わからないことが多すぎて、黙っていられない。
「ねえ、乗り移るってどうやるの?」
布団へ横になりながら、恐る恐る聞いてみた。
「ん~、信じられないかも知れないけど、幽体離脱しちゃうから、オレ」
ゆうたいりだつ、ですって?


