健斗君が離れから出てすぐ、わたしは両肩の王子様達にお願いした。
肩を出さなくてはならないと思っていたから、今着ているのは紺色のタンクトップだ。
「ねえ、王子様達、わたしのことは沙也って呼んで欲しいな。わたしはただの一般人で高校生なんだから」
「うむ......確かに」
「サーヤ姫とあなたは、別の人間ですからね」
「だが、サーヤ姫と沙也はやはり見た目だけではなく魂が似ている。だから、きっと沙也にも......」
「わたしにも、何?」
何かを言いにくそうに口ごもるアンドリュー王子に代わって、シン王子が答えてくれた。
「幸せになる力が、備わっているのですよ。あなたとサーヤ姫は、試練を乗り越える力があるはずです」
わたしの試練はわかるけど、サーヤ姫の試練っていうのは......?
わたしが実際にサーヤ姫の世界に行って、いったいどんなお手伝いができるのかもよくわからない。
わからないまま、健斗君を巻き込んでしまっていいのだろうか。
色々と聞きたいことはあった。
でも、わたしの理解を越えている内容で、頭は混乱しているし情緒は乱れているし。
ただ、このまま自分の意見を言わないまま話が進むのも嫌だった。
「サーヤ姫は今、必死に闘っています。しかしこのままではサーヤ姫は......」


