異世界巫女修行はじめました~理不尽な現世を飛び出して優秀な呪術師と一緒に異世界で人助けをします~



   はじめての儀式


「また会えてうれしいよ」

「だからわたしはあんまりうれしくないってば」

 デジャヴじゃないんだよね、残念ながら。

 はい、本日もドーナツ屋さんで健斗君と待ち合わせのわたし。

 前回言われていたので、一応お泊りの準備をしてきた。

 これから先は、健斗君にゆだねるしかない。......かなり不安だけど。


「さてと。まだかなり時間が早いから、ちょっと付き合ってもらおうかな」

「何するのっ?」

「うーん、安全に異世界を旅するための用意ってカンジかな。悪いことなんてしないよ」

「ホントに?」

「ホントホント。来ればわかるって」


 わたしが連れてこられたのは、小さな神社。

 神主さんもいない。

 ぽつんとある赤い鳥居が、かろうじて神社であることをアピールしてるようなところだった。二人でお参りをするらしい。

「ここ、手水がないから気持ちだけ、な」

 健斗君がカバンからウェットディッシュを出して、一枚わたしにもくれた。

 すっごく意外。わたしだって、普段はそこまで持ち歩かないのに。