体をささっと洗って、もう一度湯船につかる。ぼ~っと考えたのは、健斗君のこと。この二日間で、こんなに深く関わるなんて思ってもみなかった人。今まで何のつながりもなかったのに、ここまで親身になってくれるのはどうしてだろう。
あの得体の知れない人をどこまで信じていいのかわからないけれど、ただ、健斗君に何かが『見える』力があるのは本当だと思った。
たとえわたしのスマホの中身を全部見たとしても、わたしが今までしてきた苦労なんてわからないはず。
わたしはおじいちゃん家の電話番号を「自宅」とだけ登録していたから、両親がいないのなんて普通は気付かない。電話帳のグループ分けもあえてしていない。
だって「家族」のグループなんてわたしには虚しいだけ。
なのに『この歳でこんなに苦労して......』なんて、あっさりと言われちゃった。
その『力』だけは確かなモノだって、信じきってしまった。
何よりも、あの何もかも見すかされてしまうような眼によって......。
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