......?
わたしの理解力が足りないんだろうか? 何度聞いても話の内容がわからない。
「あのね、わたしにも解るように、もう一回説明してくれない?」
首をかしげるわたしに、健斗君が真顔でこう言った。
「多分、こいつらは『異世界』とか『パラレル・ワールド』から来た人間、なんだよ。どうやって来たのか知らないけど、違う世界からがんばって来たってこと。力が足りなくて、人間の姿になれずにこんな風に寄生しちゃったんだろうな。沙也ちゃんの肩にすみつく『人面瘡』になって、さ」
じんめんそう、ですって?
......人面犬とか人面魚っていうのなら知ってるけれど、初めて聞いたよ、そんなの。口裂け女っていうのもいたよね? あれ? 何か違う?
わたしは、ますます訳がわからなくなった。あっけにとられるわたしをそのままに、健斗君と二人の王子様の会話は続く。
「見たところ、お前らから悪意は感じられないな」
「当たり前だ! 我らがサーヤ姫に害を及ぼすはずなどなかろう!」
どうやら熱血キャラらしい、アンドリュー王子がムキになって反論している。この人たちが話すたびに、肩がもぞもぞするんですけど。
昨夜、それで気になって肩をかこうとしたら、その......く、くちびるに触れちゃって。
......わたしの肩なのに、くちびるがついていて、おしゃべりしてるってどういうこと?
鏡でまじまじと見ちゃったじゃないの、わたしの肩についたものを。


