異世界巫女修行はじめました~理不尽な現世を飛び出して優秀な呪術師と一緒に異世界で人助けをします~



「とりあえず時間がないから、さくっと質問させてもらう。沙也ちゃんの右肩、お前は誰?」

「......お前とは失礼なっ! 我はファミド帝国の皇太子、アンドリュー・イホス・ファミドだ」

 わたしからはよく見えないけど、怒りつつも誇らしげに名乗った男。

 わたしには「アンドリュー王子」と呼ばせているのが、右側の王子様ね。

「ふん。オレ、肩書には興味ないから。それにお前、ここにいたんじゃあ皇太子としての威厳も何もないもんね。はい、次。こっちは何者?」

 健斗君は、わたしの左肩の方へ移動した。

「......私は、シン・メル・ファラン。ファラン帝国の第一王子です」

 こっちの「シン王子」の方が、人当たりが良くて優しい感じ。

 ......って、そんな人当たりがどうのこうのなんて考えてる場合じゃない。

 このままにしていたら、わたしへの風当たりは半端ないものになりそうだもん。

「で、この自称王子様二人が、沙也ちゃんに何の用?」

 健斗君が、真面目な顔でわたしの両肩に向かって話しかける。

 この図、とても笑えるんですけど。

「我らの愛するサーヤ姫を救い出すために、そなたの力がどうしても必要なのだ」

「私達の世界にいるサーヤ姫は今、命の危機にさらされています。その危機を脱するためには、こちらの世界のサーヤ姫をあちらへ連れて行かなくてはならないのです。どうか、私達と共にお越しください」