そんな事を考えているうちに、案内された部屋へ着いてしまった。
部屋に入って早々、たこ焼きとドリンクを注文している健斗君。あああ、また料金が上がっちゃうじゃない!
わたしの精神状態はタコ焼きどころじゃないから、余計なことしなくてもいいのに!
店員さんが部屋から出ていってすぐ。
「早く脱いで。今がチャンスだから!」
健斗君が、部屋のすみにある防犯カメラに、ポケットから出した黒いハンカチを被せた。
ええっ! 今、いきなり脱ぐの? お互いに心の準備ってものが必要だよ。
「沙也ちゃん、早く! あと最短五分でたこ焼きが温まって店員さんが来る! それまでに肩見せて!」
そう言われてやっと気が付いた。たこ焼きとジュースを注文したのは、店員さんの眼を監視モニターからそらすための時間かせぎだっていうことに。
健斗君は、くるりと後ろを向いてくれた。
「店員さんが気付く前に急いで脱いで」
わたしはあわてて、セーラー服の胸当てのスナップを外して脱いだ。
肩を出すためにしぶしぶキャミソールだけになった。
脱いだセーラーとTシャツを胸にしっかり当てて、しかたなく声をかけた。
「脱ぎました」
「何だここは!」
「姫、この男は?」
......わたしは一言しか発していない。残りは......。
「うわあぁぁ?! こんなにすごいの、初めて見た! 両肩にしっかり、男が二人! しかもしゃべってるし!」
そう、わたしの両肩が「しゃべった」のだった......。


