異世界巫女修行はじめました~理不尽な現世を飛び出して優秀な呪術師と一緒に異世界で人助けをします~


 
 健斗君が入っていったのは、カラオケBOXだった。

「とりあえず一時間お願いします」

 カウンターで会員証を提示して、慣れた様子でリモコンとマイクを受け取っている。

 わたし、こんな得体の知れない男子と二人きりになって、大丈夫だろうか。

 そういえば、健斗君の学校では、こんなにアクセサリーを付けていても校則違反にならないの?

 校則の厳しい公立高校では許されないけれど、私立高校では認められてるのかな?

 会員カード作っちゃうくらい、ここにも来ているとしたら、おこづかいだっていっぱいもらってるんだろうな。

 おこづかいをアルバイトでかせいでいるわたしとは大違いだ。

 うちの高校は、生活が苦しい家庭の子に限って、学業に支障のない、一日三時間までのアルバイトと、夏休み・冬休みなどの短期アルバイトは学校へ届け出さえすれば許可されることになっているから、わたしもそれを利用している。

 健斗君はわたしの時給よりずっと高い、二人分のルーム料金を平気で払えちゃうんだ。

 ま、まさか、後から請求されたりして。

 どうしよう、わたし、給料日前だから今お財布に三百円しか入ってないけど......。スマホにもチャージはほとんどないけれど。

 うわ~ん、神様、仏様、助けてっ!