あとがき
シンデレラストーリーや溺愛が流行っているようですが、理由なくシンデレラになれる訳でもなく、溺愛されるにはそれなりの理由が必要だろうな、という現実主義な私は、精一杯頑張ってもこの程度の甘さが限界でした。
仕事柄、色々な子どもを見てきました。
とても恵まれた環境にある子ども、保護者と離れて暮らしている子ども、病気の子ども……。
同じ年数を生きているというだけで、同じクラスに様々な環境の子どもが集まる学校という場所は、ある意味社会の縮図です。
生まれ育った環境は、子どものうちは自分で変えることができません。
友達と過ごすうちに
「あれ? うちってもしかして変わってる?」
と気がついたり、
「どうしてうちは〇〇なんだろう?」
と、思い悩むようになる子ども達がいます。
小さいうちは、自分の育った環境しか目にしたことがないので、理不尽な状況に気が付かないのです。
気が付いた時に相談できる相手として、どうか信頼できる大人がそばにいますように。
子ども達が毎日、何かに怯えずに暮らすことができる世の中でありますように。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
ご縁がありましたら、また、他の作品でもお会いできますように。
2024 5.6 水瀬和奏


