今日も黙々と境内の掃除をしている彼女に近づく。
相変わらずのどす黒いオーラに混ざって、かすかに爽やかな水色の光が見えた。
何だろう、これは。
その時、強い『魔』が近づいてくる気配を察知した。
参拝客の中のひとり、ワンピースを着た女性の後ろに、それはいた。
女性は手足が針金のように細く、今にも倒れてしまいそうに見えた。
食べられない病気、なのだろうか。
ゆっくりとその女性はこちらへ向かって歩いてくる。
境内は結界があり安全なはずなのだが、強い『魔』がごくまれに入り込んでしまう。
今日は祭りの最終日で、色々な人間の『気』が混じり合い、その中に忍び込んできたのだろう。
ワンピースを着た女性と共に、オレ達獅子舞のもとへ『魔』が近寄ってきた。


