ついにオレは父さんに頼んで、バイトのシフト表を見せてもらった。
『相馬 沙也 中央高校一年 勤務可能時間帯:夏休み期間中であればいつでも』
わかったのはこれだけ。
もう少し近くで話すことができれば、見えるかも知れない。
彼女の背負っている真っ黒いものの正体が。
三日間続いた祭りの最終日、獅子舞を被ったオレは、また、そっと彼女に近づいていった。
いつもオレは前、後ろはいとこの慶(けい)が担当しているのだけれど、ついに慶が気づいた。
「なあ健斗、お前、いつもあの巫女さんのいる方へ寄ってくけど、ああいうのがタイプなのか?」
「あー、そういうことにしておく。黙ってオレについてこい」
「なんだそれ。セリフはめっちゃ男前だけど、獅子舞の口からそれを聞かされてもなぁ」


