夏祭りの期間中、獅子舞の姿のまま、真っ黒いオーラを背負ったアルバイト巫女をつい目で追ってしまう。
今年初めてアルバイトをしているという話だったが、よく気が付き、てきぱきと働く子だった。
他のバイト仲間がサボってしまうような場面でも、彼女は手抜きをせず、必死に働いていた。
炎天下の境内は、石に直射日光が当たり、かなりの暑さになる。
それでも彼女は、掃除を続けながら参拝客の様子を把握し、困っている人を見つけてはすぐに駆け寄って言葉をかけている。
みんなが嫌がる仕事を積極的に行い、それをひけらかすような真似もしない。
父さんや母さんが来た時だけ真面目に仕事をしているというアピールをするバイトとは違う。
とても、いい子だと思った。
なのにあの真っ黒い感情は、何だろう。


