異世界巫女修行はじめました~理不尽な現世を飛び出して優秀な呪術師と一緒に異世界で人助けをします~

 あー、また、泣かせてしまった。

 おっかない獅子舞に頭をかじられて号泣する子どもを見ていると、自分がものすごい悪人に思えてくる。

 親御さんは怯えて泣く我が子を見て笑っているが、子どもとしてはかなりのショックだろう。

 早く抱っこして慰めてやって欲しい。そう思って遠くから見ていたら、赤い袴のアルバイト巫女が走ってやってきた。


「びっくりしたね。怖かったね。よしよし。もう大丈夫だよ。これでおりこうさんになれるから」


 しゃがみこんで、子どもの目線に合わせて話をしている。

 号泣していた子どもが、自分の袖でごしごしと涙を拭いた。

 それを見て、また言葉をかけている。

「わー、強いね! 強くておりこうさんでカッコいいなんて、最高じゃない!」

 最大級の誉め言葉をもらった子どもは、早くも笑顔を見せていた。