それからすくすくと成長し、ようやく何とか思ったように話ができるようになったある日、オレは両親に今までのことを打ち明けた。
以前の人生で生まれ育った家・街・学校生活。
実は大学院生だったこと、本当は教師になりたかったけれど、この家に生まれたから後継ぎとして神職の道を進もうと思っていること。
母さんのお腹の中のこと、寝がえりの練習のこと、保育園のお遊戯会が苦痛であることなどなど。
両親は、はじめは驚きながらも、当時四歳のオレが到底知り得ないようなことまでぺらぺらと喋ったので、すぐに信じてくれた。
特に母さんは、オレがタダの赤子じゃないということに、早くから気づいていたとも言っていた。
オレはあんこの入ったパン型ヒーローの番組より、ニュースを見たがった。
幼児番組全般をあまり見ない代わりに、歌番組には異様な執着を見せること。
そう、オレは前世の推しが今もなおソロ活動を続けていることに気づいてから、ありとあらゆる歌番組を見ようとしていた。
もちろん、偶然を装ってリモコンを操作することだってあった。
それから、オムツがとれるのも早かった。
あんな不快なもの、早く取ってしまいたかっただけだ。
手掴み食べをしなかった。
とにかく普通の箸で食べたがった。
育児書のどのページにも、オレのような赤子は載っていなくて、きっとこの子は何か特別な才能があるのだと思っていた、と。


