異世界巫女修行はじめました~理不尽な現世を飛び出して優秀な呪術師と一緒に異世界で人助けをします~


 長めの前髪、金と白金の目を持つ男性。

 その隣には、つややかな長い黒髪の、わたしによく似た、だけどもっと優しそうで品の良い大人の女性がいた。

 頬はバラ色で、健康そのものに見える。

 マスターとサーヤ姫の、小さな肖像画だった。

 ここより五倍速く時間が過ぎている異世界で、幸せな毎日を過ごしているんだね。


 わたしも急いで社務所へ戻り、さっきの結婚式でついでにスマホで撮ったばかりの写真を、筒に入るサイズにプリントアウトした。

 巫女姿の私の隣で、神職姿の健斗君が笑ってるの。

 待っていてくれた鳩にこの写真を託して、空へ放つ。

 きっと、届けてくれるはず。

 わたしの幸せな姿も。


 涙がでるほど美しい水色の空。

 白い鳩が幸せを運ぶために飛び立って行った。

  【完】