「働くっていっても、短期のアルバイトならいいけれど......平日の放課後のバイトは校則で禁止されてるよ」
「そこが問題なんだよな。そのあたりは父に裏で手を回してもらうしかないかな」
涼しい顔して何やらたくらんでいる健斗君。お父さんまで使っちゃうなんて。
「ちなみに、あっちの世界へ行く前に拝んだ神社も、広い意味ではうちの分社なんだよね。就職してくれるなら、住む場所と食事はこっちで用意するからさ。どう? 働き者の沙也ちゃんが来てくれたら、うれしいんだけど。やっぱ巫女さんは『力』のある子がいいんだよな」
力? わたしはサーヤ姫と違うから、力なんてないはずだけど。
「わたしは力なんて持ってないから、ただ普通に働くことしかできないよ?」
健斗君は、髪の毛をかき上げながら言った。
「気づいていないだけ。君の周りにはほとんど魔が寄りつかない。だから王子がくっついてた時、驚いてオレもすぐに祓おうとしたんだ。結局は魔じゃなかったからくっつけた、ということなんだろうけどさ」
「え? うそっ!」


