ベッドへ横たわったままのわたしの首には、ちゃんと五芒星のネックレスがついている。
マスターがさらにパワーアップしてくれたので、帰りは怖い思いをしないで済むらしい。
もう、あんなに怖い思いをするのはこりごりだと思っていたのでありがたい。
よくある『トラックにひかれて転生』とかも、やっぱり相当怖かったり痛かったりするのだろうけれど、どうしてこう、異世界転生はショッキングな出来事とセットなのだろうか。
私がそんなことをぼんやり考えながら天井を見ていたら、どうやら最終的な準備が整ったようだ。
「マスター、お願いします」
わたしの言葉で、部屋の空気が変わる。でも今回は、恐怖ではなく、安らぎが感じられた。サーヤ姫も、隣のベッドで小さく呪文を唱えてくれている。
これが、マスターの魔を封じ込める力と、サーヤ姫の魔を寄せ付けない力のおかげ、なんだろうな。
そんなことをぼんやり考えていたら、急激な眠気がおそってきた。
最後に見たのは、呪文を唱えるため、マスクを外したマスターの素顔。
やっぱり『彼』を渋い大人にしたような感じだった......。


