α様は毒甘な恋がしたい



 脳内に向いていた意識を、車の中に戻してみた。

 えっ?と驚いたのは、いつのまにか二人の喧嘩が収まっていたから。


 「ヤバっ、今日ミニテストやるって言ってたよな?」


 ダルそうに顔を歪め、背中のシートに後頭部を沈めた雷斗さん。


 「やっぱり、忘れていたんですか」


 風弥さんは、冷ややかな目を雷斗さんに突き刺している。


 「ダンスの振り覚える方に、そうとう記憶力持ってかれたからさ。にしてもこの間教わったあのステップ何? ムズすぎ」

 「私たちの人気が上昇するごとに、要求されるダンスレベルも上がってますからね」

 「ガチやべー。ダンスも今日のテストも」

 「雷斗用にテスト対策ノートを作っておきましたよ」

 「マジ?」

 「3限までに頭に叩き込んでください」

 「さすがカザミ!」

 「ノートをカバンにしまってくださいね。車の中にノート置き忘れたら、竜巻で雷斗のことを吹き飛ばしますよ」