『左手の薬指、まだ空いてる?』
えっ?
左手の……薬指って……
辛いことがあるたびに、私が噛んでしまう部位で……
お揃いの結婚指輪のように、キラキラなシャボン玉がくっついたところで……
しばらくして……
ピンポーン!
寮に響いた、甲高いインターフォン。
今この寮にいるのは私だけだしと、自分の部屋を飛び出す。
宅配が来た時も、ゆっくり安全に階段を下りている。
走らなくても宅配便の方は待っていてくれる。
それをわかっているはずなのに……
私の足は駆けずにはいられなくて。
私の心臓は、バクバクうならずにはいられなくて。
腰まで伸びる黒髪をオーバーに揺らしながら、私は玄関ドアの前に来た。



