α様は毒甘な恋がしたい


「あなたたち89盗は、私たちと同じ『アイドル』というフィールドで活動を始めた。そのフィールドでは、私たちの56ビュー方が人気ですが……」

「八神戒璃を含めた89盗3人と、俺様たちは戦いたいんだ。圧勝したいんだ。歌と踊りで、絶対にな!」

「さすがわが弟。負けたままでは終われないというその執念、お見事です」

「カザミ、誉めすぎだっつーの。まぁ、悪い気はしねーがな」



 なんか不思議だ。

 89盗と56ビューは犬猿の仲。

 それなのに、ヤイヤイ言いながらも心を許し合っている。

 ここにいない戒璃くんが、この4人の絆を強めてくれているかのよう。


 なんか、ふと考えちゃうな。

 ここに戒璃くんがいたら、どんな感じなのかなって。


 どんなことを話して

 どんな表情をして

 私とどう接してくれるのかなって。


 どこにいても願ってしまうの。

 家の中でも。

 道端でも。

 テレビの中でも。

 男子禁制の女子高の校内でさえ。


 戒璃くんが、ひょこっと現れてくれたらいいのに。

 私に笑顔を振りまいてくれたらいいのにって。