熱を帯びた彼の手のひら。
私の頬を優しく包み込み。
ドクドクと血液を送り出す心臓が、暴れはじめて静まらない。
絡み合った視線。
お互いの瞳の熱は、やけどしそうなほど熱い。
恥ずかしいのに、視線をほどきたくなくて。
一生絡まっていたくて。
ジリジリとお互いの唇の距離が縮まっていくもどかしさに耐えかねた私は、まぶたをゆっくりと閉じた。
戒璃くんの甘い吐息が、私の唇をかすめる。
触れてもいないキス直前の、心臓のざわめき。
恋の毒がすでに、体内に入り込んでしまっているかのよう。
脳がドロついて、心拍が乱れ狂って、この体の異常が癖になってしまいそう。
唇の上膜だけが、もどかしさを埋めるようにこすれ合い。
一度離れただけなのに、せつなさが心に迷い込んでくる。
感じた戒璃くんの熱。
私の唇から、あっけななく消えてしまい。
寂しくて。
軽く触れるだけのキスじゃ、満足できなくて……
もう少しだけ。
もっと。
お願いだから。
二度と会えない悲しみをごまかしたい私は、自分から唇を押し当てた。