「ごめんね。約束したのに、美心のサンタになってあげられなくて。左手の薬指に、シャボン玉みたいに輝くお揃いの指輪をはめてあげられなくて」
「サンタなんていらない。指輪なんてなくてもいい。ただただ、戒璃くんの側にいたい」
「わかって、俺の気持ち」
そんな優しく頭を撫でられたら、よけいに涙が止まらないよ。
「こんな悲しい別れになったけれど、俺は美心に出会えてよかったよ。一途に誰かを愛する喜びを、教えてくれてありがとう」
「……っ、、、」
「最後に一つだけ、俺のワガママを聞いてくれる?」
ワガママ?
「美心の甘さ、確かめさせて」
それって……
彼からの最後の愛。
受け入れるように、こくりと頷いた私。
見上げると、戒璃くんがせつなそうに私を見つめている。



