「えっ、どうして?」

「いつまでも俺のことを引きずっていたら、美心は幸せになんてなれないから」

「そんなことない!」

「美心が大好きだと思える相手を見つけて、その人に愛されて、死ぬまで幸せに生きて欲しいんだ」


「私は戒璃くん以外の人を、好きになんかならない! 断言できる!」

「孝里も祈も雷斗も風弥も、美心のことが大好きだし。ほかにも美心に沼る人は必ず現れる。美心はオメガフェロモンなんて放たなくても人を引き付ける、不思議な魅力を持っているからね。一途に溺愛してくれる人に、幸せにしてもらって」


「なっなんで……そんなことを言うの? 私は戒璃くんのことを忘れたくないんだよ。ずっとずっと戒璃くんだけを好きでい続けたいって思っているんだよ!」


「生きていると辛いことがたくさんある。だから心の傷を癒してくれる存在は、必要なんだ」

「……でも」


「どうか美心にも現れますように。俺以上に美心に愛を注いで、俺以上に美心を大切にする、運命の人が」


「……っ、うっ……」

「美心、泣かないで欲しい」

「本当に嫌なの……離れたくないの……」