「いいよ、私も一緒に歌う」
私の口角は、いつの間にか上向きで。
涙目ながらも、目元はゆるっとアーチ状。
「ライブで美心と歌う予定だった曲は、初めて俺が作詞作曲をした歌なんだ」
「フフフ、知ってる」
ずっとファンだったんだから。
89盗のギターボーカル、八神戒璃くんのね。
「最初に聞いた時、美心は思わなかった? 歌詞が極甘トロトロすぎだって」
「ハッピーエンドのおとぎ話をモチーフに、歌詞を作ったのかなって思ってたけど」
「おとぎ話じゃないよ。全部、俺の願望」
「願いってこと?」
「この曲を作ったのはね、美心と二度と会えないのが苦しくて、せつなさに押しつぶされそうになっていた時だったんだ」
「そうなの?」
「だからね、両想いになれたら美心とこんなことがしたいなとか。こんな風に愛したいなとか。俺の恋愛願望を、思う存分詰め込んだ曲なんだよ」
「……嬉しい」
「心臓ザワザワ、照れくさソングって、ネットに書かれたこともあったな」



