α様は毒甘な恋がしたい


「私は戒璃くんみたいに、歌がうまいわけじゃないし……」

「うまいヘタなんて関係ない」

「さっきまで泣いてたから、声、出ないかも」

「それでもいいよ。俺がフォローするから」

「どうして歌いたいの?」


「俺と美心の重なり合う歌声を、この先ずっと、俺の鼓膜に溶かしておきたい」


「……戒璃くん」




 人生には、どうしようもない時がある。

 戒璃くんとの別れだってそう。

 逃れることはできない。

 全地球人の命がかかっている。

 私が受け入れなければいけない、悲しみの一つなんだ。


 戒璃くんは、本当に優しいね。

 最後なんだから、楽しい思い出を残そう。

 笑い合いながら、一緒にハーモニーを奏でよう。

 そんな風に、私の寂しさをごまかす方法を考えてくれたんだね。


 ありがとう。

 大好きだよ。

 離れたくない。

 でも我慢するね。