α様は毒甘な恋がしたい



「美心、このベンチに座って。ちょっと待っていてね」


 私の肩に手を置き、バルコニーから部屋の中に入っていった戒璃くん。

 醜いほど濡れた頬の雫を私は指で拭い、3人掛けのベンチの隅に腰を下ろす。


 これ以上泣き顔を晒したくなくて、夜空を見上げてみた。


 星ってこんなに綺麗だったんだ。

 天界って、あの星くらい遠いのかな?

 手を伸ばせば届くくらい、空が近かったらいいのに……



 再び込み上げてきた涙。

 嗚咽とともに、まぶたにうっすら滲んだけれど。


「お待たせ」


 ギターを抱えてい戻ってきた戒璃くんに驚き、涙がぎゅっと瞳の奥に戻り忍ぶ。


「一緒に歌おう」

「歌う?」

「俺たち89盗の曲、歓迎会ライブで歌えるように練習してくれたんでしょ?」

「あっ、うん」

「知ってた? 星空の下で歌うと、気持ちがいいんだよ」


 そうかもしれないけれど……