α様は毒甘な恋がしたい

 彼の落ち着きのある声に、私の心臓がドキリと跳ねる。


 尾行がバレたんだ。

 謝らなきゃ、今すぐに。


 慌てて立ち上がろうとしたけれど、戒璃が瞳を向けた相手は私じゃなくて。

「やっぱり気づいてたか。俺の存在に」

 どこからかともなくスッと現れたのは、真っ赤な髪の男性。


 あの人は、ルキさんだ。

 私をオメガオークションのオーナーに引き渡した、極悪人。


 二人は対面状態で。

 お互い気まずそうに、視線をそらしていて。


 戒璃くんはルキさんに、酷いことをされちゃう!

 助けなきゃ!


 駆けだそうとする私の足を止めたのは、数時間前、祈さんがルキさんに放った言葉たち。


 『一度、戒璃と話すべきよ』

 『お互いの気持ちをぶつけあうべきよ』


 脳内でリピートされ、私はお月様のように木の陰から二人を見守ることに。