α様は毒甘な恋がしたい



 お城の中のような、きらびやかな廊下を進み。

 階段も上がり。

 戒璃くんが足を止めたのは、3階にあるバルコニー。


 開けっ放しの掃き出し窓から外に出ると、すでに真っ暗で。

 赤っぽく光る満月が、白いタキシード姿の王子様を見守るように輝いている。


 とりあえず身を隠そう。

 バルコニーの隅にある植木の裏がいいかも。

 ひゃい!

 ボリューミーなドレスが、木からはみ出しちゃった。

 裾を抱えて隠さなきゃ。
 

 真っ白なタキシード姿の戒璃くんを見て、私が思うこと。

 戒璃くんは今、どんな気持ちなんだろうな。


 愁いを帯びた表情で。

 揺れている瞳はせつなそうで。

 綺麗な手のひらを満月に向け、じーっと左手を見つめているけれど。


 どんなことを考えているの?

 戒璃くんの脳内に浮かんでいるのが、私ならいいのに……なんて。



「俺以外、ここには誰もいないよ。そろそろ出てきたら?」