α様は毒甘な恋がしたい


 それにしても、まるでドラマのワンシーンのよう。

 真っ白なタキシードを着た戒璃くんと祈さんが、ゆったりと階段を下っている。


 いつもと違って祈さんが男性にしか見えないのは、顔に一切の笑みがないからかも。

 私の意識を自分に向けるように、孝里くんがドレスのレースを引っ張ってきた。


「戒ちゃんに見とれてばっかだけど、ハルヒ気づいてる?」


 ん? なんのこと?


「僕も56ビューの二人も、戒ちゃんとお揃いのタキシードを着てるんだからね! 戒ちゃんだけが無茶クソカッコいいわけじゃないからね!」


 あっ、あの……

 さっきから、言いたくてたまらないんだけど……


 私はハルヒじゃないよ。

 前世の記憶が脳内にあるだけ。

 まだハルヒと自分が、同一人物だとは思えないし。

 泣き虫のハルヒと涙を見せたくない意地っ張りの私では、性格だって全然違うんだから。