「九重祈の腹に1人一発ずつ食らわせて、罪はチャラにしたんですよ。このオメガ売買の裁きでは、祈が必要ですからね。あの無駄に流暢なトークで、悪人を派手に懲らしめてもらいましょう」
良かったぁ。
みんなが祈さんのことを許してくれている。
「でも、その祈さんはどこに?」
「犯罪現場でも、VIP登場じゃないと気が済まないってどうなの? わがままなの、僕ら89盗の聖女様は」
孝里くん、雷斗さん、風弥さんが放つ言葉に癖がありすぎて、自分の今かおれている状況を忘れそうになってしまったけれど。
「お前たちは大人気バンド89盗のドラムと、双子アイドル56ビューだな!」
打ち付けた頭をおさえながら、オークションのオーナーが起き上がりだし。
私は5000万で買われたけれど、どうなっちゃうんだろう。
急に襲ってきた不安が、私の心臓を震わせ始めた。
ズカズカと大股で歩く孝里くん。
立ち上がったオーナーに、冷酷な視線を突き刺している。



