「億でも足りねーよな? 俺様なら全財産を差しだすわ」
ひぃあぃ!
億? 私に億?
「雷斗、ダメですよ。人身売買は犯罪です。死ぬまで牢屋に入れられてしまいますから」
「バーカ、わかってる! 金なんて積まなくても、女心ぐらい自分の努力で奪うっつーの!」
「さすが我が弟。全力で同意ですね」
「聞いたぞ美心。記憶が戻ったんだってな」
「はい」
「俺様達のせいで記憶喪失にしちゃって悪かったな」
「そんな、そんな」
「雷斗が力加減を間違えたんです」
「なんでいっつも、ミスは俺様のせいなんだよ!」
「私が失敗するはずないと、私が一番よくわかっていますから」
「テメー、カザミ!」
「ねぇ? 双子の言い合いって、こんなに長くてこんなにウザいの?」
あきれたように両手を顔の前にヒラつかせ登場したのは、バンド89盗の孝里くん。
まばゆいほどの美少女顔が、ホワイトタキシードを着るとキリッと引き締まって見えるから不思議だ。



