α様は毒甘な恋がしたい



 私はソファから立ち上がり、こぶしをギュっ。

 お腹にめいっぱいの空気を詰め込み、腹筋に力を入れ吐き出す。


「この中にいるんじゃないですか? オメガをお金で買い取ったことが、ある犯罪者が!」


 絶対にいるはずなんだ。

 だってさっき、画面から聞こえてきたもん。

 オメガの奴隷を、もう一人欲しいんだって声が。


「監禁されているオメガを、今すぐ解放してあげて!」


 オメガを闇に突き落とさないで!


「本当はオメガ売買がダメなことだって、思っている人はいませんか? 私と一緒に、警察に行きましょう。全て知ってることを話してください。これ以上、オメガの悲劇を生まないためにも!」


 私の問いに、誰も声を上げない。

 どうしようってソワソワしだした人は、何人かいるけれど。

 わかっているんだろう。

 国の権力者たちを裏切ったら、人生がつぶされるって。


 それなら、私一人で戦うために腹をくくるしかない!

 声を荒らげるしかない!