α様は毒甘な恋がしたい

 私の瞳が狙っているのは、私に巻き付いている男性の腕。

 ガリガリとこすった歯で、男性の腕に噛みついた。

 遠慮なく、容赦なく、思い切り噛みついたのが良かったみたい。


「っ、痛っぁぁぁぁあ!」

 男が飛び跳ねるように私から離れたすきに、ドレスの裾をもって走り出す。


 披露宴会場のドアまで来た。

 このドアを思い切り押せば、会場の外には出られる。


 希望の光が見えたのに。

 一等星のように輝いて見えたのに。

 ドアを思い切り押しても、重厚なドアはとガンして動かなくて。

 取っ手を掴んでも、押しても、ひいても、何をしてもダメで。

 半泣き状態でドアと格闘している間に、再び腕を掴まれてしまった。


「大事なオメガに逃げ出されたら、俺は商売にならないんだ。ドアのカギなんか、開けっ放しにしておくはずがないだろ?」