α様は毒甘な恋がしたい



「私を帰してください!」

「あなたを買ったあの議員は、強気な美少女が好みだと言ってたな。今のあなたの暴動で、さらに可愛がってもらえるでしょうね。もしかして、それを見越してのパフォーマンス? どうやらあなたは、計算高いオメガのようだ」


 落ち着いたトーンで、何を言ってるのよ!

 あの議員の趣味なんて、知っているわけないでしょ!


「これは犯罪です! 今から私は、オメガオークションの実態を世界中の人に伝えるんです!」

「アハハ。 劣等種一人の声なんて、誰が信じるんだよ」


 わかっているよ。

 オメガが吠えたところで、みんなアルファの声を信じることくらい。

 それでも……


「私は声を上げますから! 真実が消されて嘘がまかり通る世界なんて、絶対に間違っているんだから!」

「嘘か真実かなんて、どうでもいいんだ。受け取った人が、どう判断するかで世界は成り立っているんだぞ」

「手を放して!」

「あなたは貴重なオメガ。そのうえ身寄りもないときた。大粒のダイヤモンドより高級な代物。金に換えるまでは絶対に離さない」


 口で何を言っても、涼しい顔で跳ね返されるだけだ。

 こうなったら、前世のツチノコくんを見習って……