α様は毒甘な恋がしたい


 逃げてばかりいたらダメだ。

 立ち向かわなきゃ!

 私はこれから、オメガ差別がない世界を作るんだもん。


 自分のためにも。

 施設の子供たちのためにも。

 アルファに監禁されている人のためにも。

 世界中のオメガのため、未来のため。

 いじわるなアルファの言いなりになんて、なっていられない!


 私は立ち上がり、ドレスの裾を両手で掴む。


 履いているのは、慣れない高めのヒール。

 バランスを崩しながらも全力で駆け

「では5000万円で……」

 どこにいるかわからない司会者の声を遮るように、固定カメラにハイヒールの底を突き刺した。


 ガシャガシャン!


 派手にカメラが倒れ、そのおかげか真っ暗になった大型スクリーン。

 とりあえずこれで、オークションは中断されたよね?

 心臓に手を当て、ほっと溜息をついたのに……


 チカチカチカ。

 ありえないことに、すぐにスクリーンは復旧。

 画面にはまた、50人ほどの男性が映りはじめたんだ。