α様は毒甘な恋がしたい


 雷斗さんが右手を挙げた。

 この人、足だけじゃなくて手も長いんだな。

 背も高いしほんとモデルみたい……って、大人気アイドルか。



 私の脳内にポコポコ沸く雑念を払うかのように響いた、指を鳴らす音。

 パチンと重い音がした直後、吹き出していた水が急に止まったんだ。



 あれ? 

 さっきもこんな奇跡が起こらなかった?

 そりゃこの噴水は、一時間に数分しか水を噴射しないもの。

 いつ止まってもおかしくはないけれど。



 あれだけ勢いよく噴射されてたのに、指パチンのあとピタッだよ。

 本日2度目の奇跡だし。

 確率論から言っても、こんな短時間に2回の奇跡は起こりえないでしょ?



 怪奇現象には、納得できる原理を脳に思い込ませるのが、私なりの恐怖の拭い方で。

 私は震える声を雷斗さんに飛ばす。