α様は毒甘な恋がしたい


「悪い予感がしたんだ。いのりんがいつもとなにかが違うって」

「忘れていたわ。幻の珍獣は、警戒心が強い生き物だったわね」

「いのりん教えて! みんなに飲ませたサプリに、何を混ぜこんであったの?!」

「怒鳴らないで孝里。耳が痛いわ」

「はぐらかさないで!」

「戒璃と56ビューの二人に飲ませたのは、特殊な力を使えなくさせる薬」


 特殊能力? 

 何のこと?


「えっ? 戒ちゃんだけじゃないの? 双子アイドルも人間じゃ……」

「孝里は知らなかったわね」


 祈さんと孝里くんは、何の話をしているの?


「この3人が本気になったら、私のテロ計画なんて簡単につぶされちゃうもの。ルキからもらった薬は効き目バッチリね。しばらくの間、痛みに悶えながら寝ころんでいてもらうわ」


「ルキって……まさか……」と、絶望顔で声を震わせた八神先輩。


 薄気味悪く笑う、祈さんの言葉通り。

 八神先輩も、雷斗先輩も、風弥先輩も、床から立ち上がることすらできない。

 荒波のように押し寄せる激痛に、耐えぬいているよう。

 歯を食いしばりながら、床に横たわっている。


 早く3人を、病院に連れていかなきゃ!


 湧き上がる使命感。

 でも私の体は、全く言うことを聞いてくれなくて。

 しゃがみこんだまま、ハァハァと荒い呼吸を床にこぼすので精一杯。


 孝里くんは、泣きそうな顔で祈さんを睨みつけた。