α様は毒甘な恋がしたい



 あれ? 

 いきなりどうしたんだろう?

 体中の筋肉が、急に震え出しちゃった。


 息が吸いにくい。

 呼吸が苦しい。

 はぁはぁと息を吐いても、少ししか空気が軌道に送り込まれてこない。


 体の力が奪われ、崩れるようにステージにしゃがみこんでしまった私。

 熟れすぎた桃のような甘ったるい匂いが、なぜか私を包みこんでいる。


 何の匂い?

 脳をダメにしそうなほど甘ったるいこの匂いは。

 今まで嗅いだことすらないけれど……


 私の皮膚が焦げるように熱い。

 頭がぼーっとする。

 体の力が入らない。

 私の体、急にどうしちゃったんだろう……



 床にベタっとお尻をつきながら、上体を支えるように床に手をつき、客席に視線を送ってみた。


 体の異変は私だけじゃない。

 生徒たちも、明らかに様子がおかしい。

 椅子の背に寄りかかり、顔を歪めながら心臓に手を当てている人。

 脱力状態で、足元に崩れ落ちている人もたくさん。


 私と同じで、みんな呼吸が苦しそう。

 この講堂内、いったい何が起きているの?