α様は毒甘な恋がしたい



 口元にマイクを当て、八神先輩が言葉を紡ごうとした時

「シャボン玉だ!」

 客席のあちこちから、驚きの歓声が上がった。


「うわぁ!」

「すごいたくさん」

「ライブの演出かな?」


 まるで50台以上のシャボン玉マシーンを、一気にフル稼働させたかのよう。

 客席には無数のシャボン玉が飛び交い。

 天井からのライトに照らされ、宝石のように一つ一つがキラキラと煌めいている。


「すごいね」「キレイだね」と、はしゃぎだした生徒たち。

 シャボン玉演出のおかげ。

 みんながオメガ批判を忘れてくれているみたい。


 私は心臓に手を当て、「よかったぁ」とあんどのため息をついたのに。

 斜め前に立つ八神先輩は、私とは正反対。

「なっなんで客席に……ルキが……」

 世界が滅びる直前のような絶望顔で、客席後方をじーっと見つめている。