α様は毒甘な恋がしたい


 長い黒髪で視界が遮られるほど深く一礼をして、客席に視線を戻す。


 クラスメイト達が拍手をしてくれた。

「頑張れ」と、口パクしてくれた子もいる。

 みんな優しいな。


 だからきっと大丈夫。

 オメガ差別が悪いことだって伝えれば、みんなわかってくれるはず。


 だってこの学園に通う生徒たちは、この国の未来を背負うエリートアルファたち。

 オメガが悪者と大人から刷り込まれて育ってきただけで、他人を思いやる優しい心を持っているに違いない。


 私はマイクをもう一度、口元に近づけた。


「歓迎会の最中なのに、こんな話をするのは場違いだとわかっています」


 ですが、言わせてください。


「私と一緒に、オメガ差別のない世界を作ってもらえませんか?」