α様は毒甘な恋がしたい


 大丈夫なはずがない。

 だって私は一般人だもん。

 カメラ慣れしている八神先輩とは違うんだもん。


 ライブ中にヘマをしないか、心配になってきちゃった。

 とりあえず一曲歌って。

 1秒でも早く、画面アウトしなきゃ。


「いっけない。私ばっかりしゃべってちゃダメよね。今日の主役ちゃんにバトンタッチするわ」


 ひゃわ!

 ポニーテールを揺らしながら、祈さんが私の真ん前に来ちゃったけど……


「美心ちゃん、ご挨拶よろしくね」


 聖女様のような慈しみ深い笑顔と一緒に、マイクを渡されちゃったけど……


 えぇぇぇ? 

 私がしゃべるの? 


 講堂の客席に座っている、全生徒の前で? 

 星の数ほどいる、カメラの向こうの89盗&56ビューファンの前で?


 足がガクブルし始めちゃった。

 頭が真っ白。

 自分の名前すら、まともに言えそうもないよ。