僕の心臓は今、痛みを伴うほどザワついている。

 やっぱりお告げなのかな?

 『おかしいなって少しでも思ったら、ツチノコの時みたいに警戒しなきゃダメ』

 僕想いのハルヒが、時空を超えて教えてくれたのかも。


 なーんて、アハハ。

 僕はそんなメルヘンチックなことを、考える男じゃないんだけどね。


 でも……

 僕はこの第六感を信じるよ。

 念のため、いのりんから手渡されたサプリは服用しないようにする。

 それでいいよね? ハルヒ。


 僕は真ん丸な瞳でいのりんを見上げ、ニコリ。


「飲んだに決まってるじゃん。いのりんが僕のために用意してくれたサプリだもん」

「あら? 今は素直モード?」

「美心ちゃん歓迎会ライブの、直前だからね」

「ドSな孝里も良い子ちゃんの孝里も、大好きよ私」

「このサプリのおかげでライブ中にムカついても、あの双子アイドルにドラムのスティックを投げつけなくて済みそう。ありがとう、いのりん」


 僕はオーバーに声を弾ませながら、もらったサプリをズボンのポケットに押し込んだ。