α様は毒甘な恋がしたい


 僕は店主の上着のポケットに潜り込む。

 も……、ない。

 ズボンのポケットの中もない。

 首にもかかっていない。


 くそっ、鍵を持ち歩いてはいないということか!

 それならこの部屋の奥。

 さっき店主が出てきた部屋を探しに……


 クルっと180度、体をひねる。

 手のひらサイズの小さな僕の体では、明らかなるオーバーワーク。

 体の疲労が限界を優に超えているが、弱音なんて吐いてはいられない。


 奥の部屋に向かうため、腹ジャンプで前に飛び跳ねたと同時

「よくも俺の首を噛んだな!」

 地を這うような怒り声をうならせた店主の手は、僕のしっぽをギュっ。


 店主は僕のしっぽを掴んだまま立ち上がると、倒れた時にうった腰をかばいながらそろそろと足をひきずり、ハルヒの前に。

 勝ち誇った顔で、逆さづりの僕をハルヒの顔の前に突き出した。